勇嶺薫『赤い夢の迷宮』
- 作者: ジョン・フランクリン・バーディン,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/12/11
- メディア: 文庫
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僕は今日、久しぶりにみんなと顔を合わせる。
ということで今回は、勇嶺薫『赤い夢の迷宮』(講談社文庫)です。
本作はティーン向けミステリ作家としてブイブイ言わせている作家はやみねかおるの、初の大人向けミステリとして刊行されました(刊行当時、そんな記事をどこかで見たような……)。今回も知り合いの方に薦められて読んでみたわけですが(はやみねはどれから手を出していいかわからないので、今後もこのスタイルで読んでいく所存)……
うん、ちょっと評価が分かれそうな作品ですね。これをミステリと呼びたくない人もいるかも。僕自身、ミステリというよりもニューロティックスリラーとして読むのがいいと感じました。
個人的には、作中の重要なギミックが割と早い段階でわかってしまったのが残念で、そこがミステリとして読まない方がいいんじゃないかと思う主たる要員なわけですが、一方でスリラーとしては非常に優秀だったように思います。
まず、雰囲気作りがいい。閉じられた館、凄惨な事件と割とよくあるシチュエーションですが、緊張感の高め方が巧みだと思います。
また、ラストの展開はまさに、これぞニューロティックスリラー! というべき形で、こういう物語を久しく読んでこなかった(『悪魔に食われろ青尾蠅』以来かな)のでなんだかうれしくなりました。
刊行当時、名前をわざわざ漢字表記にした理由がよくわからなかったのですが、なるほどこれはたしかに従来のはやみねかおる名義で出してはいけない作品だったように思います。面白かったです。