エラリイ・クイーン『Xの悲劇』
- 作者: エラリー・クイーン,越前敏弥
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/01/24
- メディア: 文庫
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というわけで今回は、エラリイ・クイーン『Xの悲劇』(角川文庫)です。
満を持して、という感じで、初クイーンです。
読み始めるのであれば本作からがいい、という話を聞いて手に取ったわけですが、いやー、すごかったですね。
第一幕の印象的な導入からの、第二幕の鮮やかな引き。そして第三幕のロジックのパワープレイとでもいうべき圧倒的な質量。どこをとっても良かったですねえ。
主軸となっている事件は、言ってしまえば地味だと感じてしまう部分もあるんですが、それだけに奥行きの拡げ方が神がかっているように思います。かすかな手がかりから事件が急速な広がりを見せ、大きく展開していく様は美しくすらあります。
そうした一面に一役買っているのが、レーンをはじめとした登場人物の面々でしょう。登場人物のキャラクターが立っていて、よく動き回る。これが物語にとって一等大切なことであるということを、本作を読んでいると改めて実感させられます。