柴田錬三郎『花嫁首~眠狂四郎ミステリ傑作選~』
眠狂四郎殿とお見受けする。
ということで今回は、柴田錬三郎『花嫁首~眠狂四郎ミステリ傑作選~』(創元推理文庫)です。
本作は、柴田錬三郎が産みだした孤高の剣士眠狂四郎が登場するシリーズから、ミステリ仕立てになった短編21編をピックアップして編まれた短編集になります。
眠狂四郎は、今よりおおよそ六十年前に生まれたわけで、その作品も当然、生まれてから半世紀ほどが過ぎているわけです。なのでさすがに古めかしさは否めないのですが、それでも、やはりいい。
美しいロジックがあるわけでなく、ミステリとして見れば完成度の高くない作品も見受けられますが、なんといっても様式が美しい。序盤に謎が提示され、眠狂四郎が一刀のもとに解決する。ミステリのひな型としての様式美がそこにあるように思うのです。
用意された謎も多彩で、密室ものからハウダニットまで、次々と現れる様々な色の謎が読者を楽しませてくれるでしょう。
僕の好みとしては『恋慕幽霊』『千両箱異聞』そして表題作の『花嫁首』あたりがよかったですが、なにせ21編も所収されているので、読む人ごとの好みが分かれるところかと思います。
時代小説なので好き嫌いがするかと思いますが、眠狂四郎の魅力を知りたい方は、是非ともご一読を。