メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

辻村深月『ネオカル日和』

 

ネオカル日和 (講談社文庫)

ネオカル日和 (講談社文庫)

 

  辻村深月を作ったものたちを詰め込んだ、玉手箱

 

 というわけで今回は、辻村深月『ネオカル日和』(講談社文庫)です。

 

 辻村深月は割と好きな作家で、デビュー作から読んでいるのですが、本作はどういうわけか買い漏らしていました。多分、「おっ、辻村深月のエッセイ出とるやんけ、買ったろ!」と思ったはずですが、そのまま忘れていたのでしょう

感想ですが、個人的には普段読むようなエッセイとは違った楽しみ方ができたかな、と思います。

 僕は割と、とほほな(本上まなみ語でいうところの『へもい』)日常をつづったエッセイが好きで、穂村弘島本理生のエッセイなどは楽しく読んでいたのですが、こういうかっちりした真面目なエッセイも面白いですね。なんというか、人柄が表れるというか。

 基本的には、『〇〇に行ったときの話』みたいな取材型のエッセイが多いのですが、中ほどに収録されている短編『七胴落とし』は面白かった。これだけのために本書を買ってもいいと思います。

 なお、タイトルでお気づきかと思いますが、この短編は『神林長平トリビュート』というアンソロジーに寄稿されたもので、僕はこちらも買い逃していたのでここでの収録はうれしかったです。

 特に読んでほしい一編は、『ゲームとUFOキャッチャーと紙のにおい』というエッセイで、本読みならば一度は経験のある風景だと思います。僕も昔を思い出しました。