メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

クラフト・エヴィング商會『ないもの、あります』

 

ないもの、あります (ちくま文庫)

ないもの、あります (ちくま文庫)

 

 

 

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

 

  この店には、どこにも《ないもの》が《ある》のです。

 

 というわけで今回は、クラフト・エヴィング商會『ないもの、あります』(ちくま文庫です。

 

 クラフト・エヴィング商會といえばつむじ風食堂の夜』(ちくま文庫の作者として知られている吉田篤弘と、吉田浩美夫婦によるユニットです。ブックデザインなども手掛けているのでご存知の方も多いかと思います。本作はその中でもやや異色、かつ彼らの(ある意味で)メインワークスともいえる作品集を紹介したいと思います。

 

《よく耳にするけれど一度として見たことのない者たち、あります。》

 

 帯の煽り文句はこんな感じで、いざページを開いてみると《店主よりご挨拶》という文字が目に飛び込んできます。本作は、クラフト・エヴィング商會が営むお店の商品を紹介する、という体で進んでいきます。

 

 《堪忍袋の緒》

 

 《先輩風》

 

 《冥途の土産》

 

 この店に並んでいるのは、そんな商品たちです。いわゆる『言葉の中にはたしかに存在するけれど、実際に誰も見たことがないものたち』が、このお店のラインナップとなっております。一風変わった商品たちの、一風変わった紹介文を楽しむのが、本書となっております。個人的には《先輩風》の項目が結構好きでした。