メガネストの読書日記

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多和田葉子『言葉と歩く日記』

 

言葉と歩く日記 (岩波新書)

言葉と歩く日記 (岩波新書)

 

 というわけで今回は、多和田葉子『言葉と歩く日記』(岩波新書です。

点数:6/10点

 いや~、新書、久しぶりに読みましたね。

 

 本作は『犬婿入り』で芥川賞を受賞し、ドイツにてドイツ語で文学を著す著者(もちろん、日本語の著書も多数あります)が、日本語とは、ドイツ語とは、ということを考えながらつづった日記です。

 基本的には、日本語表現とドイツ語表現の差異と、それぞれが現代的に変遷していくことについて著者の思うことを日記にして綴ってあるのですが、なかなか興味深いですね。

 作家、という職業柄かもしれませんが、著者は常に言葉について考えを巡らせています。ただ、僕たちも日常的に(無意識であることが多いでしょうが)言葉について考え、それを扱っているわけで。深く考えたことのない疑問の答えが、もしかしたらここにあるかもしれません。

 帯の惹句に『言葉と歩くことは可能なのだ』という文言がありますが、まさにその通りで、言語を話し、文字を書くということは、言葉と寄り添い、歩いていくことなのかもしれません。それを無意識のうちにしているのが我々人間であり、言葉と歩くということなのではないかと感じました。