メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

レイフ・GW・ペーション『許されざる者』

 

許されざる者 (創元推理文庫)

許されざる者 (創元推理文庫)

 

  というわけで今回は、レイフ・GW・ペーション『許されざる者』(創元推理文庫)です。

点数10/10点

 

 本邦初訳の作家、ということで。

 本作は北欧ミステリなんですが、僕自身北欧ミステリというとネスボくらいしか読んでいないので、自分の好みと合致しているかはいまいちよくわかっていませんでした(今もよくわかっていません)。なんとなくテーマが重く、重厚な作品が多いので読むタイミングを選びそう、という印象はあるのですが……

 

 ともあれ、本作の話をします。帯に『病床の元捜査官が、25年前の未解決事件を調べ直す』という惹句があり、ほぼそのままのストーリーが展開されていきます。

 本作において犯人が誰なのか、ということはさして重要ではなく、その先――時効を迎えている事件に、どういう決着をつけるのか、という点に重きが置かれています。被害者、捜査官、あるいは関係者……決着のつけかたというのは一定でなく、それぞれに気持ちの置き所を作る作業が必要なのだな、と感じさせられます。

 そういう濃密なドラマを真正面から書ききったのが本作で、どっしりとした物語に腰を据えて臨みたい、というときにうってつけの一冊である、と言えるでしょう。