メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

日影丈吉『内部の真実』

 

内部の真実 (創元推理文庫)

内部の真実 (創元推理文庫)

 

というわけで今回は、日影丈吉『内部の真実』(創元推理文庫です。 

点数:8.5/10点

本作の評判はずいぶん前から耳にしていて、「読みたいなあ」と考えているうちに復刊されたので歓喜しております。

 で、感想なんですが、噂にたがわぬ傑作でしたね。

 一つ前の記事の『怒りの菩薩』と同じく、台湾が舞台となっていますが、こちらは終戦直前ですね。ですから本作→『怒りの菩薩』という順で読むと、より深く感じるものもあるかと思います(僕は逆順で読みました)。

 内容としてはシンプルなものなのですが、そこに様々な人物の思惑や不可解な行動が絡んできて、一枚の精緻な絵を描き出していきます。ネタバレになるのでリンクを踏むときは気をつけてほしいのですが、東野圭吾の人気シリーズの某作品を思い出しました。二つの作品にはほぼ半世紀の時間的な隔たりがあるわけですが、いつの時代も根底に流れているものは変わらない、ということなのかもしれません。