メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

ドット・ハチソン『蝶のいた庭』

 

蝶のいた庭 (創元推理文庫)

蝶のいた庭 (創元推理文庫)

 

 というわけで今回は、ドット・ハチソン『蝶のいた庭』(創元推理文庫です。

点数:7.5/10点

 僕がこの本を手に取ったのは、表紙のデザインがとても目を惹くものだったからです。いいですねえ、この表紙。どんな内容なのか、想像をかき立てられる素敵なデザインですねえ。

 で、内容なんですが、こちらもとてもよかったです。ミステリ、というよりはサスペンスと幻想小説の間にあるような本作ですが、僕はとても好みでしたね。ただ、結構好みは分かれそう。誰かの偏愛作品にすっと収まりそうですね、これ。

 全体を通して不穏な空気が漂い、縦軸を貫く本筋の謎(と言っていいかはわかりませんが、最初に提示されたものが、最後に解決されるのでそう呼ぶことにします)が少しずつ開示されていく様子が、恐ろしいけれど読むのをやめられない、という感覚につながっていくのだろうと思います。

 また、ラストもとても読み味がよく、それが本作の評価を高めている一因ではないかと思います。こうした内容の物語であるにもかかわらず、読後感をいいものに仕上げることによって、その対比で双方がより際立っているように思います。