中村安希『インパラの朝~ユーラシア・アフリカ大陸684日~』
インパラの朝―ユーラシア・アフリカ大陸684日 (集英社文庫)
- 作者: 中村安希
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/01/18
- メディア: 文庫
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今夜はどこで眠ろうか
というわけで今回は、中村安希『インパラの朝~ユーラシア・アフリカ大陸684日~』(集英社文庫)です。
これって読書感想文の課題図書だったんですね。個人的には、これで読書感想文を書くと、すごく『いい子』な感想が頻出しそうで(もちろん、それを目論んでの選出でしょうが……)、なんだかちょっともやっとするんですが……
まあ、僕は別にいい子ではないので(メガネっ子ですが)、そんなの気にせずに感想を書いていきたいと思います。
タイトルを読んでいただければわかるかと思うのですが、本書は著者の中村安希が旅したおおよそ二年という日々を綴ったものになります。
基本的には普通の紀行文として読んでいけばいいのですが、この人、ちょいちょい危ない橋を渡っていますねえ……
まあ、それ自体は自分の選択なので(冷たい言葉でいうと自己責任、というやつ)、僕自身思うところはないのですが、この人は視点がちょっとおもしろいですね。
たとえば、中村安希は三か国目に中国に行っているわけですが、彼女は中国で電車に乗った話をします。あるいは、アフリカのパートではビジネスマンたちとの交流や、アクセサリー職人との共同生活を描いたり、あえて少し斜めからその国を見ているというか、そういう部分があるように思います。
文章はともすれば傲慢で、旅している国をどこか下に見ているような雰囲気さえ感じますが、彼女はそれに酷く自覚的で、あえてそういう書き方をしているようにも感じました。というのも、彼女はあくまで旅人で、様々な国の暮らしを目の当たりにしたわけですけれど、結局のところどうしたって当事者にはなれないわけです。そういう感覚からこの文体を採用しているのかな、という気もします。
女性が一人旅をする、というのはありふれた話ですが、彼女の斜めの視点を取り入れると、ここまで独特なものに変化してしまうのでしょうか。おすすめです