竹本健治『囲碁殺人事件』
すべての謎は、首に帰結する。
というわけで今回は竹本健治『囲碁殺人事件』(講談社文庫)です。
竹本健治といえば、以前感想を書いた『涙香迷宮』が昨年末のランキングで軒並み上位に入り話題となりましたが、その原点が本作となります。
本作は1980年代に書かれた《ゲーム三部作》の一作目で、IQ208という天才的な頭脳を誇る少年牧場智久が登場するシリーズの一作目でもあります。
感想ですが、いいですね、これ。
僕は囲碁にまったく明るくないんですが(ルールをぼんやり知っていたくらい)、それでも十二分に楽しむことができました。作中でルールもしっかり解説されているし、僕のようなずぶの素人にもわかりやすく書かれていると思います。
肝心の謎のほうは……正直途中で「そういうことだな」とわかってしまったのですが、結局のところ本作は小説として面白いので、そこは大した問題ではないかな、と思います(もっとも、気取られないに越したことはないわけですが……(^^;))。
というか、今回新装版を手に取った、そこそこミステリを読んでいる人は、大方察しがついたのではないかと思います。ただ、これがおおよそ40年前の作品であるということを考えると、当時はかなり斬新だったのではないかな、と思います。
併録された『チェス殺人事件』に関しては、まあおまけ程度に考えておいた方がいいでしょう。どうでもいい話ですが、この作中の智久くんはいったい何歳なんでしょうかね? 『囲碁殺人事件』のころよりも幾分大人びて見える反面、海外に行く際にお姉さんを保護者としているので、それほど時間の経過はなさそうですが……