メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

山口遼『ジュエリーの世界史』

 

ジュエリーの世界史 (新潮文庫)

ジュエリーの世界史 (新潮文庫)

 

  宝石の美しさは、そこに流れる時間の美しさである

 

 というわけで今回は、山口遼『ジュエリーの世界史』(新潮文庫です。

 ええと……なんで買ったんだったかな、この本は。たまたま書店に出かけたときに新刊で並んでいて、それで興味を惹かれたんだったと思います。少なくとも計画的に購入したわけではないのはたしか。

 この本、元は昭和六二年に発売されたものらしいんですが、どうしてほぼ三十年後の今になって文庫になったのか……まあ、文庫になったおかげで僕が手に取ることができたわけですが(^^;)

 

 本書はタイトルの通り、人類がジュエリー(一般的には『宝石』くらいの意味合いで使われることが多いですが、本書ではもう少し広く『装身具』という意味合いで使われています)とともに歩んできた今日までの道程を、駆け足ではありますが解説しています。カルティエティファニーなど、この世界を語るうえで外せない人物はもちろんのこと、ジュエリーのそもそもの成り立ちや今日の意味と役割など、語られる切り口は多岐にわたります。筆者の山口遼曰く、「日本にはジュエリーに関する本は少ない」ということなので、本書はそういう意味でも大きな意義を持っていると言えるかもしれません。

 また、巻末には『正しい宝石の買い方、教えます』と題されたエッセイ(少なくとも僕の認識では、そうです)が収録されていて、我々がジュエリーを購入する際に気をつけるべきことが(ある意味で)赤裸々に綴られています。この部分だけでも本書を買って読む価値があるのではないでしょうか。

 読んでいて感じたのは、宝石に携わる仕事というのは、ほかの仕事と比べると趣味的な部分(宝石を愛していなければならない、というのはまさにそう)が大きく、愛情とか義理人情に欠けている人間では勤まらないものなのだな、ということと、ガチのお金持ち凄すぎじゃないですかーやだーということです。

 資料的にも面白いと思いますが、単純に読み物としても興味深い一冊でした。