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メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

吉田篤弘『なにごともなく、晴天。』

 

 

 

なにごともなく、晴天。

なにごともなく、晴天。

 

  電車が通った。今日も空は、晴れていた。

 

 というわけで今回は、吉田篤弘『なにごともなく、晴天。』(毎日新聞社です。

 

 クラフトエヴィング商會として活動する吉田篤弘の作品です。クラフトエヴィング商會名義の作品は以前に取り上げましたが、吉田篤弘名義は今回が初めてかな?

 

 本作は取り立てて大きな事件が起こるわけでもなく、センセーショナルな手法がとられているわけでもありません。しかし、心のどこかに残る。そんな作品です。

 高架下の商店街、《晴天通り》に暮らす美子が、友人たちと過ごす日常を描いた作品――という紹介をすると、最近流行りの日常系マンガみたいですが、だいたいその認識で間違ってないと思います。

 この話の中には、ほんの些細な事件や、小さな謎が転がっていますが、そういうものは誰の日常にも当たり前に転がっているもので、目を留めなければすぐに過ぎ去っていってしまうものなのかもしれません。本作はそうしたささやかだけれど、たしかにそこにあるものにスポットを当てて形にしたもので、のんびりと読書するのにもってこいの一冊です。

 

 吉田篤弘作品はこうした雰囲気とほんの少しのファンタジーを楽しむもので、どれか一冊楽しむことができれば、ほかのどの作品も楽しむことができるでしょう。どの作品から入っても同じように楽しめる作者、というのは案外貴重なのかもしれません。