ジョン・フランクリン・バーディン『悪魔に食われろ青尾蠅』
- 作者: ジョン・フランクリンバーディン,John Franklin Bardin,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
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悪魔に食われろ青尾蠅!
というわけで今回は、ジョン・フランクリン・バーディン『悪魔に食われろ青尾蠅』(創元推理文庫)です。
前の読書が詩のような散文のような。なんとも解釈が多様なものだったので、今回は楽に読めるものを……と思っていたのですが、このていたらく(?)ですよ! 今回もずいぶん解釈が難しい本に当たりました。
ところで、僕が読んだのは創元推理文庫版なのですが、貼りつけてあるアマゾンの記事が翔泳社ミステリ版になっているのは、アマゾンのページがこちらのものしかないからです。なんで創元推理文庫版はないんだろ?
ともあれ、感想。
この手の作品をニューロティック・スリラーと分類するらしいのですが、今まで読んだものの中でも飛びぬけて難解でした。時系列が曖昧で、過去と現在と未来を自由に往来するので、読んでいて混乱します。おまけに文章がどこか指摘で、幻想的なせいもあって、夢と現実と時系列が曖昧になってきます。
これはきっと、あれですね。三人称と見せかけたエレンの一人称視点の小説と考えた方がいいかもしれません。読者が無意識のうちにエレンの視点を共有しているからこそ、この酩酊感と迷走感が生まれるのではないかと思います。
後半の展開はやや安直なきらいもありますが、駆け抜けるような速度が印象的で、個人的にはそこまで悪くないのではないかと思います。
そして、なんといってもこのタイトル。
いいですねえ、これ。
初見で興味を引くような強烈なタイトルでありながら、最後まで読むとその深さを理解することができる。こういうところにセンスが表れるんですねえ。