メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

ジョー・ネスボ『その雪と血を』

 

 

二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

 

 

  雪が、降っていた

 

というわけで今回は、ジョー・ネスボ『その雪と血を』(ハヤカワポケットミステリー)です。

 

 実のところ、ポケミスを読むのはこれで二冊目なんですよね。一冊目はたしか、デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』(現ハヤカワミステリ文庫)だったと思います。

 それはともかくとして、今回は北欧ミステリの重鎮であるところのネスボの作品です。僕は初めて読んだんですが、いいですね、これ!

 帯には《殺し屋の男が恋をしたのは標的(ターゲット)の女》という惹句が書かれているのですが、これだけ読むと割とありがちな物語であるように思うかもしれません。しかしながら実際には、そこから殺し屋のオーラヴの中に生まれたものが重要であるように思います。

 彼が恋した二人の女で揺れ動く心、危機的な状況、それとは全く対照的な、美しく降り積もる雪。記録的寒波が襲った七十年代ノルウェーで起こった、小さな、しかし美しい物語がそこにあります。

 クリスマスストーリー×ノワール、という書き方をするとただそれだけになってしまいますが、二つの要素が互いを引き立て合う、素晴らしい物語だと感じました。この時期にはぜひとも読んでほしい一冊です。