福井健太『本格ミステリ鑑賞術』
さあ、ミステリを読もう。
というわけで今回は、福井健太『本格ミステリ鑑賞術』(東京創元社キイ・ライブラリー)です。
この本は、どこで知ったんだったかな……たしか発売当初にどこかで「こんな本が出るんだヨ」みたいな話を聞いて、面白そうだと思ったから買いに行ったんだったと思います。
ところで、僕が住んでいる町は中途半端な田舎で、『それなりのものはあるけれど肝腎なものがない』という、なんとも困った場所なのです。
ここまで言えばお分かりかと思いますが、この本も当然地元には置いておらず、わざわざ都会まで出向いて買ってきた次第。もっとも、それだけの価値がある本だったとは思いますけれど。
本書はそのタイトルの通り、いわゆる『本格ミステリ』を読むにあたって知っておくといいことがまとめられた一冊であります。
……という風に書くと、「おっ、ミステリ読む前にこいつで勉強するやで!」(byやきう民)
的なことを考える方がいるかと思いますが、逆です。本書はむしろ、ある程度ミステリを読んでから読むことを強くお薦めします。
というのも、本書にはかなり有名なミステリの核心部分に触れている個所が数多くあるため、それに触れないままに読むと、手ひどいネタバレを喰らう(次回予告ですさまじいネタバレをしたアニメもありますが、それはまあ余談)ことになるのです。
ネタバレ上等! という方は気にせず読んでもらって構わないと思いますが、そうでない方はある程度ミステリに触れてから読むようにしましょう。
ちなみにですが、僕はこの本に出てくるミステリの半分くらいは読んでいません。というのも、僕は割合忘れっぽいので(以前の感想でもそんなことを言いましたが……)、いつかその作品を読むことになってもネタバレされたことを忘れているだろうと思ったので、読んでも平気だろうと判断した次第。
個人的には、第四部三章『叙述トリックの鬼子性』は特に面白く読みました。ここだけでも本書を読む価値があるくらいに興味深いことが書かれています。
もちろん、ほかの章もミステリの基本要素を深く考察していて、読んでいて面白いものとなっております。本屋で見かけたら是非。