伏瀬『転生したらスライムだった件①』
俺、スライムになってね?
というわけで今回は伏瀬『転生したらスライムだった件①』(GCノベルス)です。
本作はすでに一度読んでいるのですが、まだこちらに感想を上げていなかったことと、つい先日最新刊が発売したのとで、再読してみました。
本作は昨今よく名前が聞かれる小説投稿サイト小説家になろう で連載されていた作品の書籍化となっております(合ってるよね?)。
書籍化に際して大きく展開が変化したり、大幅な加筆修正が加えられていたりとweb 組も楽しめる書籍化となっているようです(僕はサイトでは読んでいません、悪しからず)。
そんなわけで、感想。
まあ、内容としてはタイトルの通りなわけですが。大きく分類するといわゆる《俺TUEEEEEE!!》ものということになります。異世界に転生した主人公が反則級のスキルを駆使して生きていく――というのがこのジャンルのテンプレですが、本作はまさしくそのスタンダードな形といえるでしょう。
ただし、主人公がスライムに転生したという都合上、魔物の側に立って物語が進行し、それゆえに同ジャンルの他作品とは差別化ができているように思います。
これは本作だけでなく、シリーズ通して、というかこのジャンル全体の利点でもあるのですが、主人公が無敵(ないし、それに近い状態)なのでストレスフリーで読むことができます。読書とは本来、そういう風に楽しむものであるような気もしているので、ある意味ではこのジャンルは、読書のもっとも原始的な楽しみを教えてくれるのかもしれません。っていうか、こういうのでいいんだよ、こういうので。
とはいえ、そういうストレスフリーな読書感を与えるのにもいろいろと条件があるわけで。個人的にはこの作品の文体はいいと思います。
いいね!
こういう軽妙でリズム感の良い文章が、このジャンルには合っているのではないかと思います。
さて、本作の感想に移りたいのですが、完全に導入部分、といった感じでまだ物語すら始まっていない印象。もちろんそれなりに見せ場はあって楽しめるのですが、おもしろくなるのはこれから、といった風情で、期待を持たせてくれるような一冊になっています。
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