メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

北大路公子『ぐうたら旅日記~恐山・知床をゆく~』

 

ぐうたら旅日記 (PHP文芸文庫)

ぐうたら旅日記 (PHP文芸文庫)

 

  旅は嫌いだ。

 

 ということで今回は、北大路公子『ぐうたら旅日記~恐山・知床をゆく~』(PHP文庫)です。

 

 実はこの本、十日ほど前に読み終えていたのですが、それと時をほぼ同じくして某ポケットでモンスターなゲームを買ってしまったので、ブログ更新が遅れた次第。とりあえずそちらが一区切りついたので、更新したいと思います。また読書も再開するしな!

 

 本書は、タイトルの通り作家の北大路公子さんが寿郎社編集者であるコパパーゲ氏をはじめとした愉快な仲間たちと恐山に行ったり知床に行ったり、ウニを食べに行ったりする旅行エッセイとなっております。

 本書の最大の特徴といえばやはり、北大路さんが大の旅行嫌いだという点でしょう。なにせ冒頭からして『旅は嫌いだ』というおおよそ旅行エッセイとは思えない一言ですから。

 ところで、僕は北大路公子さんの小説を読んだことがないのです。にもかかわらずなぜこの本を手に取ったのかといえば、きっかけは奥付でした。

 ほら、あるじゃないですか。奥付のところに『本書は○○年に発売されたものを文庫化したものです』的な一文が。

 ここってどの本も定型文を載せるものだとばかり思っていたのですが、本書は、

 

『本書は、二〇一二年十二月に寿郎社より刊行された作品に「これほんとに出すの? やめたほうがいいんじゃない?」と訴えながら加筆・修正し、文庫化したものです』

 

 という一文が書かれているのです。

 もうね、心をぎゅっとつかまれましたよ。「あ、これ読まなきゃ」って一瞬で思わされてしまいました。っていうか、ここの文章ってアレンジできるのね……

 

 というわけで、感想。

 日本全国酒飲み音頭かっ!


日本全国酒飲み音頭 歌詞つき

 

 と思い切りツッコミを入れたくなるくらいずーっとお酒を飲んでいます。

 もちろん、ちゃんと旅行してるんですよ?知床にも行ったし、恐山にも行ったし、ウニも食べてる(しかも三回)。

 でも、それ以上にずっとお酒を飲んでいる印象が強いのです。いやまあ、実際ずっと飲んでいるわけですけど。

 文体は軽妙で楽に読めます。おまけに情景を想像しやすく、まるで自分も北大路公子とゆかいな仲間たちの一員になったかのような錯覚を受けます。

 ……という風に書くと、電車での移動中や空き時間にカフェなどで読むのに最適な一冊と思われるかもしれませんが、本書はぜひとも部屋で一人で読んでいただきたい。いいですか、男同士の約束ですよ。

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 なんでそんなことを言い出したかっていうと、この本、おもしろすぎるのです。

 語り口が軽妙すぎて、読みながらどんどん笑えてきてしまうため、この本を読んでいる人をはたから見たらなんか本読みながらニャニヤしてる気持ちの悪い人みたいに思われてしまう恐れが……

 ここだけの話ですが、僕はそうなってしまった人を知っています。誰かって?

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