河合祥一郎『シェイクスピアの正体』
誰なのか。
それが問題だ。
ということで今回は、河合祥一郎『シェイクスピアの正体』(新潮文庫)です。
連続でシェイクスピアですか……こんな並びなのは、もちろん理由があります。
半年ほど前のある日のことです。
どこかで「こないだ出たうんたらシェイクスピアかんたら、みたいなタイトルの本がとても面白いよ」という発言を見かけて、「ほーん(覚えといたろ)」と思いました。
で、その後に本屋に行ったときにその言葉を思い出し、「そういえばあの本買って帰ろうかな。あのシェイクスピアの本」と思ったのです。
で、本屋を探し回ることしばし。見つけましたよ、ええ。
『シェイクスピアの正体』
『深読みシェイクスピア』
……うん、二冊あるね。
しかも、どちらも新刊だね。
同じ時期に二冊もシェイクスピア関連の本出してんじゃねーぞ! このダボがァァァァァァァァァッッッ!!
というようなことを、この二冊を前にして思いました。嘘です。ただただ困り果てただけです。
で、予算的に文庫一冊しか買うことを許されていなかった僕は、本書『シェイクスピアの正体』を買って帰ったわけです。
帰宅してから肝心の書名を確認したんですが……もう、言わなくてもわかりますね? わかるよね? わかれよ!
……はい、僕が面白いと聞いていたのは『深読みシェイクスピア』のほうでした。見事に間違えたね。心の底から間違った!
なんでこの月に二冊もシェイクスピア関連の文庫が刊行されていたのかというと、どうやら今年がシェイクスピア没後400年なのだということ。だから二冊並んでたんですね!納得!
……まあ、よくある失敗ですし、いつまでも悔やんでいても仕方ないので、とりあえず読んでみることにした次第。
内容ですが、タイトル通り。謎めいた存在であるシェイクスピアという戯曲家。その正体に迫る一冊となっております。正直、失意のうちに読み始めた本書ですが、この内容紹介を読むと、非常に僕好みで面白そうですね(テノヒラクルー)。
読んでみると、これはほとんど学術書ですね。非常にまじめな内容で、それだけに興味深いものとなっております。
シェイクスピアの正体に関しては、これまでも様々な議論が交わされてきたところではあるのですが、本書はそうした学説では無視されてきたところにも光を当てて、論理的にシェイクスピアの正体に迫っております。
個人的にはとても面白く読みましたし、
と声を大にして言いたいところ。
テレビなんかでよく、『○○(好きな言葉を入れてチョ)の謎に迫る!!』みたいなドキュメンタリーが好きなかたには、ぜひとも読んでほしい一冊。
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