読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

松岡和子『深読みシェイクスピア』

 

深読みシェイクスピア (新潮文庫)

深読みシェイクスピア (新潮文庫)

 

  役者に敬意を表する翻訳者は、優れた翻訳者である。

 

 というわけで今回は、松岡和子『深読みシェイクスピア』(新潮文庫です。

 本書はタイトルの通り、翻訳者の松岡和子が自信とつながりの深いシェイクスピアの作品について語る、という内容の本です。正直に言って、割と需要の薄そうな本ですね!(マテ)

 冗談(?)はともかくとして、本書は単なるシェイクスピアの作品論という側面のほかに、松たか子唐沢寿明蒼井優といった名だたる俳優たちが、普段どのようにして与えられた役に臨んでいるのか、ということがわかって非常に興味深い面があります。

 著者の松岡和子は主に戯曲の翻訳を手掛けている方で、なれば、その戯曲が使われる公演の稽古場に足を運ぶことも多いわけで。この本には、そんな日々のエピソードが随所に出てきます。そのエピソードに触れるにつけ、俳優という人種は、これほどまでに鋭いのか、と驚かされます。もっとも、ある道のプロフェッショナルともなれば、例外なく感覚が鋭いものなのかもしれませんが、本書はそういうものの片鱗に触れることができる一冊となっております。

 また、本書にはもう一つ大きな面があります。

 前半、特に三章までは創作論としても読むことのできるものとなっております。たとえば第一章では、『ハムレット』においてシェイクスピアがどのような考えのもとに物語を作っていったのか、第二章では処女作である『ヘンリー六世』がどのように書かれたのか、といったように、各作品に焦点を当ててシェイクスピアの創作論について語っていきます。創作を志す方は、読んで損はないでしょう。

 シェイクスピアを嗜んだことのある人も、ずぶの素人もシェイクスピアの世界観にいざなう、そんな一冊でした。

 

《関連記事》

河合祥一郎『シェイクスピアの正体』 - メガネストの読書日記