メガネストの読書日記

眼鏡好きのメガネストが、読書日記をつける

穂村弘『人魚猛獣伝説~スターバックスと私~』

 

人魚猛獣説―スターバックスと私

人魚猛獣説―スターバックスと私

 

 

ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi

ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi

 

 

 

 スターバックスには様々なものがある。初めて足を踏み入れたときの緊張感、恋人との甘いひと時、孤独を埋める賑やかな声。スターバックスは、嬉しい時も悲しい時も、いつだって同じ顔をして僕たちを迎えてくれる。

 

 というわけで今回は、穂村弘『人魚猛獣伝説~スターバックスと私~』(かまくら春秋社)です。

 

 2008年にスターバックスのサイトで公開していたエッセイをまとめたものが、本世になります。本書を読むとあら不思議! それまでどのように楽しんでいいかわからなかったスターバックスという店の楽しみ方が一瞬にしてわかる優れもの!

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 嘘です。本書はそんな本ではありません。

 作者の穂村弘歌人で、独特のファンタジックな世界観が面白い方ですが、有名なのは

 

  子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」

 

  ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり

 

  「耳で飛ぶ像がほんとにいるのならおそろしいよねそいつのうんこ」

      (歌集『ラインマーカーズ ~The Best of Homura Hiroshi~』より引用)

  あたりでしょうか。

 もっとも、もっぱらエッセイストとしての顔のほうが有名な気が、しないでもないですが。穂村弘のエッセイはどれも面白いので、一冊読んでみることをお勧めします。

 

 さて、そんな作者の、スターバックスを題材にしたエッセイがこちら。スターバックスのサイトに寄せられたエッセイをモチーフにしたエッセイが16編所収されていて、そのどれもが「あるある」と頷きたくなるような場面を切り取っています。読んでいるとなんとなく、「ああ、こう感じていたのは自分だけじゃなかったんだなあ」としみじみと感じます。もしかしたら、窓際で当たり前の顔をして新発売の商品を飲んでいるおしゃれなあの人も、こんな風に感じていたんだろうか。そう思わせてくれます。