渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星で・外伝~tea party's story~』
空ノ鐘の響く惑星で―外伝‐tea party’s story‐ (電撃文庫)
- 作者: 渡瀬草一郎,岩崎美奈子
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/07
- メディア: 文庫
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再度エピソード的な、なにか。
今回は渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星で・外伝~tea party's story~』(電撃文庫)です。
いわゆる後日談にあたる短編集なので、個別に感想をば。
・『錬金術師ノ嘆息』
作中で今一つ日の目を見なかった異国の騎士ハーミットと柱守の少女シルヴァーナのその後のお話。
本編のラストで二人の結末だけが語られてしまったので、そこに至るまでの話ということになるのですが、結局そのことが致命的にこの話の価値を削ってしまった印象。
たとえば、それを知らずに本作を読んだら割と楽しめたのかもしれませんが、それでも……うーん、といった感じ。
これは多分、ハーミットというキャラクターが本編でそれほどフィーチャーされなかったのが原因かと思います。今回一気読みした僕でさえ彼の印象はそれほど強くないので、当時リアルタイムで追いかけていた勢は猶更だったのではないかと思います。ここでもう少しハーミットについて掘り下げられたら印象が変わったかもしれませんが……
・『幻惑ノ剣士』
本編でも大活躍だったお調子者、ライナスティのエピソード。
本作で重要な役割を果たす老人がいるのですが、読みながら「どこかで聞いたことあるような名前だなー」と思っていたら、本編に名前だけ出てますね。多分八巻(ベルナルフォン大活躍の、あの巻ですな)だったと思うのですが、『絶対に敵対してはならない四人』としてこちらも本編で大活躍だったバロッサとともに名前が挙がっていました。
謎多き男ライナスティの背景を描いていた本作ですが、それよりなにより、フェリオと八歳差だということに驚きました。なんでだかもうちょっと年が近いと思っていたので……(^^;)
・『今宵、二人ノ結婚式』
ベルナルフォンのエピソードになりますが、なんかもう、悲しくなってきますな、色々と(´・ω・`)
本作で白眉だったのは、イラストでも用いられた《焼けちまったこっちの眸の中には、今も君がいる――》というフレーズでしょう。そこに、本作のすべてがあると言っても過言ではないと思います。
・『王ト王妃ノ今日コノ頃』
ソフィアとブラドーの、貴重な恋人時代のお話。これだけ本編の間に起こったエピソードですな。
うん、ソフィアかわいいよソフィア。
本編でも割とそういう片鱗はあったように思いますが、本作で一気にそういう印象がついた感じ。この二人、なんなら主人公たちよりもニヤニヤしながら見守りたい所存。
という感じの四つのエピソードがあり、その間を埋めるように、本編ラストの直後の一日を描いた幕間が挿入されているのが本作となります。
本編はあまりに緩み撓みのない公正だったため、こういうシーンがほとんどありませんでしたが、ここで一気に補完した感じ。
まさにこんな感じ↑の感想です。どのエピソードもとてもおいしくいただきました。
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