メガネストの読書日記

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渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星で・12』

 

空ノ鐘の響く惑星で〈12〉 (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星で〈12〉 (電撃文庫)

 

 物語はここで終わる。

 今回は渡瀬草一郎空ノ鐘の響く惑星で・12』(電撃文庫)です。 

 

 大団円、といった風情のラストですね。もっとも、こうなることは最初から分かっていたわけですけど。

 途中にどういう道を通るかはともかくとして、フェリオがこの場所にたどり着くということは、多くの読者が予想していたのではないでしょうか。そして、その通りになったことに喜びを感じたのではないかと思います。

 物語は読者の予想を覆し続けるべきである、と考えている人は割合多そうですが(実際、ミステリなどはそうあるべきだと僕も考えています)、読者が考えた通りに物語が決着することが言い場合もたしかに存在していて、本シリーズなどはそういう物語だったな、と感じます。これについてはいつか書くつもりの総括で触れるとして――とりあえずはこの巻の感想をば。

 

 思いのほか、そして急激にSFに寄せてきたなあ、という印象。

 もちろん、これまでもそういう雰囲気はありましたし、訪問者(ビジター)たちはSFの要素を色濃く出していましたが、こういう着地になるとは。意外でした。

 まあでも、いい展開でした。王道をまっすぐ進んだというか、衒いなく書ききったというか。非常に僕好みの展開を見せ、非常に僕好みに物語を結びました。

 ただまあ、戦記ものじゃないよね、これ

 そういうシーンも結構出てきていますが、基本的には王道のファンタジーといった風情で、ライトノベル感はそれほどない印象。まあ、ところどころに珍妙なものがいますが。カボチャとかカボチャとかカボチャとか

 ラストには後日談が描写されていますが、これ、ちょっと不満です。

 基本的には満足だったんですが、あの人とあの人は出てこなくてよかったんじゃないかなあ、と思いました。っていうか、最後の戦いでああなってから、何事もなく後日談に出てくるのはどうなのよ

 あと、人間関係が妙にきれいに収まりすぎなのもちょっともやもやします。大団円!みたいな感じでいいと思う半面、お前らくっつきすぎやろと。想像する余地ほとんどないじゃん……

 とはいえ、長いシリーズ(ライトノベル的にはそれほどでもないですが)をしっかりと完結させて来る手腕は、さすがの一言です。読んで損はない骨太のファンタジーでした。

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